こんばんは。さけのこです。
本日、2022年11月11日公開の映画
新海誠監督「すずめの戸締まり」を見て参りました。
公式ページ【https://suzume-tojimari-movie.jp/】
公開日は偶然我々の結婚記念日。
何か映画でも見に行こうかと話をしていたら、たまたまこの映画の公開日と知り見に来た次第であります。
正直見る前は「新海誠かぁ〜。秒速5センチメートルは大好きだったけど、君の名ははあんまり刺さらなかったからなぁ……ボーイミーツガールを見て感動する歳じゃないのかもしれないし、キレイな景色見るつもりで見に行けばいいか……。宮崎が舞台みたいだし……。」
と、見に行きましたが……
ド刺さりしました。
以下ネタバレ感想です。
この映画、
「宮崎県日南出発ほぼ本州縦断のロードムービー」であります。
東京までは厄災を巻き起こす猫(かわいい)を追い、それ以降は主人公である鈴芽のルーツを追う旅になっています。
要所要所で出会う心優しい人々との出会いと交流……これ、3クール36話くらいのボリュームで見たかった〜!!!!もっと日本国内の旅行記みたいなの出てくれ〜!!!
ガールミーツガール……1日共に過ごすだけで友達になれた頃もあの頃はあったっけ……
作中に悪意のある人間がいないロードムービーほど心に良い物語はないですものね。。
【2】東日本大震災を経た12年後の世界
そして本作を語る上で欠かせないのがこの要素。
作中では、日不見(ヒミズ)(行き場のなくなった意志のないエネルギーの塊。みみず&もののけ姫のタタリ神みたいな姿。)が、後ろ戸(人々が忘れた場所にある扉。普通の片開き戸が異次元の入り口になってしまう。)から出て来て空を仰いで地面に激突することで、地震が起きてしまう……という設定が根幹になっております。
その地震を未然に防ぐためには、ミミズが地面に衝突する前に後ろ戸を閉めてしまう必要があります。
叩かれがちなアニメ映画で、センシティブな東日本大震災をファンタジーの要素を絡めて描き切る。
その覚悟と丁寧な取材がこの作品にはあると感じました。
【2-1】福島を見た災害非経験者の感想
後半、主人公の鈴芽は宗像草太(ハウルみたいな外見。)の友人、芹澤(やさぐれたトンボみたいな見た目。)と行動を共にします。
目的地であり、鈴芽の故郷である宮城を前にして芹澤は福島の景色を見ながら一服。
「この辺りもきれいな景色があったんだ。」と言います。
その言葉に鈴芽は「は……?」と険しい顔。
それもそのはず、その景色というのは、芹澤から見れば「高い堤防で海を仕切られた草の生い茂る丘」ですが、災害を経験したすずめにとっては「12年前まではそこに人々が息づき、生活していた街の跡」なのです。
過去を知る地元の人間ならいざしらず、都会から来た人間にとって災害は土地と結び付かない出来事になっているのです。
【2-2】災害が起きるその瞬間まで紡がれていた人々の生活
この映画では「いってきます。」「いってらっしゃい。」など送り出すシーンが度々描かれています。
先に示した通り、地震を防ぐには後ろ戸を閉める必要があるのですが、それには「その扉のあった場所に居た人々の声を聞く。(思いを馳せる)」必要があります。
宮城の後ろ扉を閉じようとする際、災害が起きるその瞬間まで生きていた人々の生活、扉を開けて街に出ていく声が聞こえてします。
私も報道やドキュメントで東日本大震災の情報を得ていましたが、どこかそれは身近な出来事ではなく、遠い東北の地で起きているただの出来事でした。
しかし、作中で災害が起きる寸前までの日常を感じ、遅ればせながら、日常と隣り合わせの災害だったのだと感じることができました。
【3】ジブリ作品へのリスペクトと開き直り
作中の登場人物やミミズの見た目、演出に時折ジブリ作品に似たものを感じます。(ミミズがタタリ神みたいだったり、草太が黒髪のハウルみたいだったり。)
しかし作中で芹澤が「旅の始まりで、猫が一緒にいるんだからこの曲でしょ。」とカーステレオで「ルージュの伝言」を流し始めます。
言わずもがな「魔女の宅急便」のテーマソング。
「ジブリぽいとかどうとか言うけどな!おれはジブリが好きだし、作るものにジブリのエッセンスが入り込んでしまうのは仕方ないだろ!むしろそれは誇りだ!!!」と言わんばかりのメッセージを感じました。
子供の頃から当たり前にあった作品であるジブリはクラシックとして扱っていく姿勢も素敵だなと思いました。
【4】環さん
環さん……!!!!!!!
姉の子供を引き取って、育て上げた環さん……!!!!
家出当然に飛び出した鈴芽に対して、感情が抑えきれず(もしくは怪異の影響で)、「コブ付きで婚活もうまく行かないし、気を遣うし、私の10年を返して欲しいわ!!」と言ってしまうも、その後和解して「あの時言ってしまったけど、それだけじゃなかったからね。」と共に過ごした幸せな日々と謝罪を伝える環さん……。
(姉の子引き取って、悪感情が一個もないのは絶対嘘になるのでその人間味が最高。)
……とそんな事を言っておきながら、高校生になってまで尚、バリバリに可愛いキャラ弁を姪の為に作り続ける環さん……。
自転車を立ち漕ぎする環さん……!!!!
うおぉお……環さん、幸せになってくれ……!!!!
そんなこんなで最高の121分間でした。
映画館の入り口にも海辺の細工がしてあるのもニクいですよね。(最初思い出のマーニーの時から剥がしてないのか……!?と邪推してしまいましたが。)
うう……これは新海誠熱が再燃してしまいました……。
細かい表現も面白い……。鈴芽が子供の頃から大事にしている椅子は一本脚が欠けた3本脚なのですが、その鈴芽のお部屋はそれなりに散らかっていたりして……確かに部屋の掃除がそれなりな人は椅子の脚を作り足そうとは思わないですわな……。
……とりあえず今からパンフレットを熟読したいと思います。
またね。